時を超えた賛沢な贈り物

刺しゅうを施すことで生まれる光と影、 さらに刺しゅうを重ねることで生まれる色の陰影、 プリントでは表現できない10数色の刺しゅう糸が織りなす巧みな図柄の美しさ、 PJCのエンブレースは、私たちへの時代を超えた賛沢な贈り物です。

PJC KAZUKO ONISHIのエンブレースが今に至るまでには、途方もない時間か掛かっています。
レースに魅せられて洋服を造りはじめた30数年前、 その頃大西和子はまだ糸値の安い生成り糸だけのエンブレースを使っていました。そして、30年ほど前、大西和子は突然色を使った多色エンブレースを作り始めます。 PJC KAZUKO ONISHIのエンブレースは、図柄のモチーフがすぐさま完成に漕ぎ付ける訳ではありません。

例えば、花の「レイ」は当初3色で描かれていました。その後何度も製品化する中で別のアイデアを加えてやり直しを繰り返し、 今の「レイ」は16色の糸で表2回、 裏2回の刺しゅうが施されエンブレースとなったのです。裏から刺しゅうを掛けるのは裏糸のからみを出すためだったり、 刺しゅうを何回も施すのは1度で描ききれないからです。

7色で3回刺しゅうする「雑木林」も手間と時間のかかるエンブレースですが、大西和子はさらにステッチ量を必要とする極細の刺しゅう糸ならではの「草」と「ダリア」のエンブレースを創りました。細い糸で何度も刺しゅうして創りだす繊細な色合いは独特の上品さを備えています。


どこかにありそうで、本当に探すと見つからないものや、戻れない時間、原風景につながるキーワードとして 「緑の記憶」をテーマに、多色糸にエンブレースやジャカード織りで表現しようとした。PJC KAZUKO ONISHIのエンブレースには、新しく美しいものを創りだそうとする創作の情熱と手間を惜しまない高い刺しゅう技術がこもっています。 こうして芸術品ともいえる美しい、評価の高いエンブレースが誕生しました。